弁理士について

 弁理士は、業務独占の国家資格であり、特許・実用新案・意匠・商標等の知的財産権を扱うスペシャリストです。弁理士資格を持たない者が、特許出願の代理等の弁理士の業務を行うことは、法律で禁じられています。
 このページでは、弁理士の扱う知的財産権、弁理士の業務内容、弁理士という国家資格の特徴、弁理士の将来性、および弁理士になる方法をできるだけ具体的に掲載致します。
 弁理士を目指す方、純粋に弁理士って何だろうと思う方、ご参考にしていただければ幸いです。

目次
  1.知的財産権とは
  2.弁理士の業務内容
  3.弁理士資格の特徴
  4.弁理士の将来性
  5.弁理士になる方法

知的財産権とは

 大抵の製品は、最初に生み出されるまでに大変な試行錯誤がなされます。そうして失敗を繰り返しながら最終的な製品が出来上がり、これまでの試行錯誤に要したコストも加味して価格が決定され、販売されます。
 ですが、一旦製品が販売されると、これを模倣することは比較的簡単であることがほとんどです。模倣者は、失敗をすることなく完成形を見て模倣できるため、模倣品を安価に製造し販売することができます。
 このようなことを放置すると、新しい物を生み出すより模倣した方が得になってしまい、産業が発展せず、国民生活も向上しないという結果になりかねません。

 また、物語や音楽、絵画などの著作物も、たくさんの人に喜ばれるように完成させるために大変な能力と努力が必要ですが、出来上がったものをコピーすることが簡単にできてしまいます。
 このコピーを自由に許すと、著作物を作成する意欲が減殺され、文化が発展しないという結果になりかねません。

 他にも、企業は多大な努力によって高品質な商品を作り続け、これによって信用を蓄積します。そしていずれブランドとして認められ、その企業の商品であること自体が価値を持ち、ブランドロゴに価値が生じてきます。
 ですが、このブランドロゴは、簡単に模倣して商品に付けることができてしまいます。
 このようなことを自由に認めると、一般需要者がブランドロゴを見てその企業の商品と間違えて購入し、せっかく蓄積してきた企業の信用が失墜してしまいます。また、間違えて購入した一般需要者自身も不利益をこうむってしまいます。そうすると、競業秩序の維持が図れないという結果になりかねません。

 このようなことを防止し、健全な産業の発達、文化の発展、競業秩序の維持を促し、国民生活の向上を図るために設けられている制度が知的財産権制度です。
 この知的財産は、複数の法律に分類されて保護されています。

知的財産を保護する法律
・特許法
 技術的な思想である発明を保護します。
・実用新案権法
 簡単な技術的思想である考案を保護します
・意匠法
 物品のデザインである意匠を保護します。
・商標法
 商品、サービスを他社から識別するための商標を保護します。
・著作権法
 文芸、絵画、音楽などの著作物を保護します。コンピュータプログラムも保護します。
・不正競争防止法
 著名な名称を無断使用する行為や営業秘密を不正取得する行為などの不正競争行為を禁止します。
・その他
 回路配置利用権等も知的財産権に含まれます。
知的財産権の利用の実態

 知的財産権の中で、弁理士が取り扱う主要分野になる特許、実用新案、意匠、商標は、特許庁に出願をし、審査をクリアして初めて権利が発生します。
 そして、権利が発生すると、権利者は、侵害者に対して、差止請求(製造販売等をやめさせる)、損害賠償請求(侵害によりこうむった損害を賠償させる)等の訴訟を裁判所に提起できます。
 各社が行う多数の出願は、その一部が審査をクリアして権利となり、さらにその一部が侵害されて訴訟に発展します。この出願件数、訴訟の件数は、次のようになっています。

国内出願件数

(データは特許庁ホームページより)
国内知的財産訴訟件数

(データは裁判所ホームページより)
国際特許出願件数

(データは特許庁ホームページより)

弁理士の業務内容

弁理士の主な業務には、権利化代理、訴訟補佐、鑑定、ライセンス契約代理等があります。

権利化代理

 権利化代理は、弁理士の業務の中核をなします。主に出願前の調査、出願、中間処理からなります。特許を例にして詳しく説明します。

調査

 出願前の調査では、クライアントから聞いた発明について、既に公知になっている発明から近いものを探し、新しいかどうか等、特許権を取得することができるか否かを判断します。
 この調査により、権利化の可能性がない発明を出願する無駄を防止できる上に、公知技術を見ることで発明のポイントを浮き上がらせることができます。

 

また、調査には、多数のアイデアについて調査をし有力なアイデアをピックアップする開発方向策定調査や、パテントマップを作成してクライアントの出願・権利化状況とライバル会社の出願・権利化状況を把握する動向分析調査など、大規模なものもあります。
 このような大規模の調査は、企業の知的財産部で行われることもあれば、特許事務所が引き受けることもあります。

出願

 弁理士は、開発者にヒアリングをし、発明のポイントを把握し、文章と図面であらわした特許出願書類を作成します。このため、様々な企業の先端技術を知ることができます。いつも新しい発見があり、非常に楽しい仕事です。
 出願書類(明細書といいます)の作成は非常に重要で、その発明の命運を定めることになります。良い明細書を作成するためには、技術知識と法律知識と発想能力が必要不可欠です。

 発想能力が必要なのは、他社が権利逃れをできないように広い範囲をカバーする権利範囲(請求項といいます)を作成するためです。ちょっと変えただけで侵害ではなくなるような請求項では、特許権の効力が半減以下になってしまいます。

 技術知識が必要なのは、技術を理解できなければ説明できないからです。このため、自分の専門分野を持つ人が多いのも弁理士の特徴です。特に特許の場合、化学とそれ以外で明確に分かれます。

 法律知識が必要なのは、書類の提出期限をきちんと守り、クライアントが後々不利にならないように適切に権利化手続きを進めていくためです。出願を権利化するにあたって提出する意見書や補正書といった書類は、期限が定めれています。この期限を過ぎてしまうと、その出願を権利化する可能性が失われます。また、意見書等に記載した内容は、権利化後に有利にも不利にも取り扱われます。このため、権利化後の取り扱いも踏まえた対応をするためにも法律知識が必要となります。

 他にも、日本語の表現能力も必要になります。特に、日本の出願に基づいて外国出願をするためには、翻訳しやすい日本語で書かなければなりません。日本人であれば正しい日本語を書けると考えがちですが、簡潔明瞭な日本語を書くのは意外と難しいものです。

 このようなことに注意を払い、クライアントにとって最も有利な明細書を作成するのが弁理士の仕事です。クライアントとは、「そうするとこういうケースが権利に含まれなくなりますので、この方が有利ですよ。」と話すことや、「さすが抜け目がないですね。ありがとうございます。」とお礼を言われることがよくあります。非常にやりがいのある仕事です。

中間処理

 中間処理とは、特許庁の審査官から拒絶理由を通知された際に、権利範囲を狭める、あるいは審査官の主張に反論する等して、権利取得に導くための処理を言います。
 ここでは、拒絶されない範囲でいかに広い権利にするか、意見書にどのような主張を書いて審査官を納得させるかが腕の見せ所となります。
 安易に権利範囲を狭めて権利化すると、後に他社が権利逃れをしやすくなり、価値の少ない権利になってしまいます。とにかく狭い範囲でも権利を取得するのではなく、最大限広い権利を取得することが必要です。
 また、広い権利というだけでなく、侵害発見が容易か、侵害訴訟に耐えられるか、ビジネスモデルに即した権利範囲になっているかなど、様々な観点を考慮した上で最適な権利を取得することが、クライアントのビジネスに役立ちます。

外国出願

 海外展開している企業は、日本での出願にとどまらず外国にも出願します。この外国への出願件数は年々増加しています。この外国への出願も日本の弁理士が仲介します。
 実際には、クライアントが権利取得したい国の現地代理人(米国であれば特許弁護士、中国であれば専利代理人)に日本の弁理士が依頼します。
 翻訳も含めて現地代理人に依頼するケースもありますが、こちらで翻訳文を作成して現地代理人に手直し等を依頼するケースが主流です。

※明細書は誰が読むか

 明細書は、まずクライアントが読みます。そして、特許庁の審査官が読み特許性が判断されます。場合によっては審査官よりも上位の審判官に読まれて特許性が判断されます。さらに侵害訴訟に至ると、相手方企業、相手方の代理人弁理士や弁護士、裁判官が読みます。
 様々な立場の人々に読まれますから、誰が読んでも納得できる明細書を書くことが必要になります。

鑑定

 ある知的財産権を、ある会社の製品が侵害していないか鑑定することも弁理士の仕事です。
 1つの権利と対象製品だけを見比べても正しい判断はできません。従来どのような公知例が存在しているか調査して把握し、その上で特徴点がどこかを見極めて判断する必要があります。
 クライアントに鑑定書を出すと、クライアントはその鑑定を信じて訴訟提起をすることや、侵害警告に対して非侵害と主張し製造販売を継続することに繋がります。従って、クライアントのビジネスに大きな影響を与えることになり、その責任は重大です。
 私も侵害警告を受けたクライアントに非侵害の鑑定をし、クライアントが相手方から訴訟提起された経験があります。自分の判断に自信はあったのですが、裁判官が同じ判断をしてくれるか、勝訴判決が出るまで本当に緊張しました。

警告代理

 侵害者を発見した場合、まず警告書を送付することが一般的です。弁理士は、この警告書の作成や、警告書を受けた場合の回答書の作成も行います。
 警告書や回答書は、その後に侵害訴訟へ発展する可能性がありますので、慎重に対応します。
 警告段階で速やかに両者の合意をまとめることが、訴訟提起して勝訴するよりもはるかに価値が高いケースもあります。警告をするにも警告に対する回答をするにも、最終的な終着点を明確に認識してクライアントにとって最も価値の高い結果を生み出すことが大切です。

訴訟補佐・共同訴訟代理人

 知的財産権の侵害訴訟では、弁理士が補佐人として弁護士をサポートします。また、弁理士になった後、特定侵害訴訟代理人の試験に合格して付記登録を行うと、弁護士と共同して訴訟代理人になることができます。
 権利範囲の解釈や公知例調査など、弁理士の意見は弁護士に尊重されます。
 実際の訴訟になると、弁護士と弁理士が打ち合わせをして方針を決め、訴状や準備書面を作成し、法廷へ出廷します。
 ちなみに、東京地裁や大阪地裁では、毎日何かしら知的財産権に関する裁判が行われています。裁判所に行くと、その日に行われる訴訟の当事者と代理人が記載されています。知財の世界は狭いため、知財を扱う代表的な弁護士は、ある程度知られています。

ライセンス契約代理

 弁理士は、知的財産権に基づくライセンス契約の代理も行います。このライセンス契約は、侵害警告が発端となり、訴訟までには至らずに契約合意するという形で進行する場合もあります。また、実施したい企業が権利を持っている企業へ最初からライセンス許諾を求める形でライセンス契約に至る場合もあります。
 いずれの場合も、お互いにメリットがある妥当な形で契約に至らしめることが大切です。クライアントの有利性だけを考えて無茶な契約条件を提示すると、契約不成立となるか、禍根を残した契約になる可能性があります。
 ライセンスもビジネスなのですから、目先の短期的な利益を見るのではなく、長期的な展望を視野に入れてクライアントの企業理念に沿う形で進めることが大切です。

弁理士の業務形態について
 弁理士は、主に特許事務所で経営または勤務する事務所弁理士と、企業に勤める企業内弁理士の2種類に分かれます。実際に特許の明細書作成などの実務を行うのは事務所弁理士が中心となります。企業内弁理士は、開発部門からの発明の掘り出し、出願戦略や権利行使の戦略の策定、事務所弁理士の作成した書類のチェック、社内教育などが主な業務となります。

弁理士資格の特徴

 弁理士は、業務独占の国家資格です。弁理士資格を持たない者が、特許出願の代理等の弁理士の業務を行うことは、法律で禁じられています。
 このような弁理士資格には、高収入で、独立がしやすく、仕事満足度が高いといった特徴があります。

年収

 弁理士の年収は、一般的に高収入と言えるでしょう。
 弁理士資格を持っていて特許事務所で普通に仕事が出来れば、30歳代前半で600万〜800万円はあるケースが多いようです。
 また、30歳代でも事務所パートナーであれば1000万円を超えますし、独立して仕事を十分得ていれば2000万円を超えることも十分可能です。
 それから、弁理士の収入は男女格差が少ないようです。バリバリ働いて高収入を得ている女性弁理士もたくさんおられます。

 上記金額が高所得か否かは、下図の国税局発表のデータが参考になると思います。国税庁の発表した平成18年のデータによると、日本の中で最も多いのは、年収300万円〜400万円の人で、全体の17%となっています。その前後もあわせて年収200万円〜500万円に位置する人は、全体の46.8%(つまり約半分)となっています。そして、年収600万円以上の人は全体の20.9%、年収800万円以上の人は全体の10.0%、年収1,000万円以上の人は全体の5.0%となっています。

 ちなみに、年収については、平均年収いくらかという話が良くなされますが、何歳のときにどれくらい収入を得るかという計画を立てることが大切だと思います。
 同じ年収の額でも、30歳で既に得ている年収であるか、60歳でようやく到達した年収であるかでは、生涯収入が大きく異なります。
 参考までに、国税局が発表している一般的な年齢別平均年収と、年収分布を記載しておきます。
 なお、平均収入は、一部の超高所得者(年収1億円や10億円といった人達)が水準を押し上げていると思われますので、高く感じられることと思います。年収分布の方が参考になるでしょう。

日本の年齢別平均年収

                 (平成18年 国税局発表データより)
日本の年収分布

  (平成18年 国税局発表データより)

 なお、当たり前のことですが、弁理士資格だけを取っても仕事が出来なければ高収入を得ることはできません。
 ですが、一定以上の仕事ができれば、あとは才覚に応じて高収入を得ることができるでしょう。
 それから、企業内弁理士は、企業の方針次第であり、特許事務所に比べて弁理士資格の有無が給与に与える影響は少ないようです。弁理士資格を取っても資格手当てが無い企業も結構あると聞きます。

独立

 弁理士は、比較的独立しやすい業種であると言えます。
 私は、弁理士試験に同期合格した人たちの集まりである同期会に毎年参加していますが、毎年のように「今年独立した」という同期の弁理士がいます。
 独立後は、弁理士一人で事務所を経営される場合もあれば、パートナーとして何人か迎え入れて多人数で経営される場合もあります。

仕事に対する満足度

 弁理士は、常に新しい発明、新しいデザイン、新しい商品名やブランドに触れることになります。
 そして、これらの新しいものに対して、クライアントにアドバイスしつつ仕事をし、クライアントから高い信頼を獲得していくようになります。
 ですから、常に創造的で楽しく仕事をすることができ、充実感を持って仕事をしている人が非常に多いといえます。
 日本弁理士会の委員会活動や研修など、弁理士が集まる機会は多いのですが、皆自信に満ちて活き活きとした顔をしているのも弁理士の特徴と言えます。


弁理士の将来性

 弁理士の将来について、明るいか暗いか、様々な見方がありますが、私は明るいと考えています。
 国内の特許出願件数だけを見ると、既に頭打ちの状態で、年間出願件数は横ばいになっています。なお、2008年は、出願件数が激減していますが、これは、自動車業界を始めとする大不況によるものであり、一時的なものと考えられます。
 それに対し、弁理士試験の合格者数は、昔に比べて随分多い水準を維持しています。弁理士の将来がさほど明るくないと考える人は、この国内出願件数と弁理士数を基準に言われているように思います。
 ですが、国内出願については頭打ちであっても、外国出願件数は伸び続けています。
 外国出願も弁理士が受任しますから、弁理士の仕事の全体量は増加しています。
 また、大企業だけでなく中小企業にも知財意識が高まってきており、知財コンサルティングなど権利化以外の業務に対する需要も高まってきていると言えます。
 知的財産権に対する意識と重要度は高まる一方ですので、弁理士の将来は明るいと言えるでしょう。


弁理士になる方法

 弁理士になるには、次の3つの方法があります。
1.弁理士試験に合格する
2.弁護士となる資格を取得する
3.特許庁において通算して七年以上審判官又は審査官として審判又は審査の事務に従事する
 (※ 弁理士法第7条より)

 最も多く現実的な方法は、弁理士試験に合格して弁理士となるケースです。
 弁護士資格を有する人が弁理士になるケースは、知的財産権を専門にする弁護士が弁理士登録をするというケースが殆どです。知的財産権関係で弁護士に会うと、弁理士登録して名刺の肩書きに「弁護士・弁理士」と記載されている方が多いです。こういった方は、弁理士としての仕事が主なのではなく、弁護士としての仕事が主であり、知的財産分野を専門分野とされています。
 元審査官または審判官が弁理士になる方も少ないながらおられます。

弁理士試験に合格して弁理士になる方法

 弁理士試験は、一般に難関試験といわれています。
 試験は、マークシート形式の一次試験(短答試験)、論文形式の二次試験(論文試験)、口頭陳述形式の三次試験(口述試験)の3段階あり、すべてに合格する必要があります。
 このすべての試験に合格する最終合格率は、6%前後です。具体的には、次のようになっています。

 <弁理士試験最終合格率>
  2008年度 5.9%
  2007年度 6.7%
  2006年度 6.8%
  2005年度 7.8%
  2004年度 7.1%
  ※特許庁ホームページより

 最終合格率が6%前後だと、100人に6人程度しか合格できません。ですから、非常に難関な試験といえます。
 そして、この合格率を見ると、どのような頭の良い人が合格するのかと考えがちで、自分に合格できるものかと疑問を抱く方もおられると思います。
 実際、私もそう思っていました。
 ですが、弁理士試験は努力すれば必ず合格できる試験です。これは非常に良く言われることであり、事実です。その理由を説明したいと思います。

<理由1>
 まず、弁理士試験の受験生は、社会人が多いという特徴があります。社会人は、日中仕事をしているわけですから、平日の夜と土日しか勉強時間がありません。この勉強時間で合格できるという事実があります。私も仕事をしながら合格しましたし、周りの弁理士仲間も殆どが仕事をしながら合格しています。弁理士試験の勉強だけをして合格したという恵まれた人は少数派です。
 従って、ライバルに負けないためには、仕事以外の時間をいかにたくさん勉強に割り当てるかを考えれば良いのです。そして、どうしても合格したい場合、ある程度実力が高まったところで半年〜一年仕事をやめて、弁理士試験に集中してライバルに差をつけるという奥の手を使うこともできます。
 ただし、弁理士試験はちょっとのミスで不合格に繋がります。実際、実力があってもその年にミスをして合格できず、その翌年に合格するといったケースもあります。ですから、落ちれば生活が成り立たなくなるような手は避けた方が良いでしょう。

<理由2>
 また、弁理士試験には、複数人で勉強している場合に、そのうちの一人が合格すると、翌年にその仲間から多数の合格者が出るという事実があります。
 これは、「あいつが合格できるなら俺にもできるはずだ」という信念が生まれ、この信念を持って努力することで合格を引き寄せることができるからです。
 私の場合も、身近な勉強仲間が合格したときに自分の中でスイッチが入り、本気で勉強に取り組むようになって合格しました。正直なところ、それまでは自分が合格できるか半信半疑であったため、勉強に対する努力が甘かったと後になって感じます。この努力不足は、スイッチが入った後になって解ったことで、それまでは自分の努力が足りないとは全く思っていませんでした。
 これらの事実から解るのは、「難関だからすぐには合格しなくても仕方が無い」という考えが不合格の原因となり、「絶対受かれるはずだ」という信念が最も重要ということです。信念を持つ前と信念を持った後で人の能力が変わるわけではありません。人間の能力にかかわらず、その信念を持つかどうかで、勉強の質が変わり、合格できるかどうかも変わるのです。

<理由3>
 弁理士試験に最終合格するための最大の難関は、二次試験の論文試験です。
 一次の短答試験になかなか合格できない方も結構おられますが、それ以上に論文試験に合格できない方が多いのです。
 この論文試験になかなか合格できないことには、理由があります。
 論文試験がどのようなものか、どういった勉強をすべきか、何を答案に書くべきかを理解していないと、いくら法律の勉強をしても合格できないというのがその理由です。
 実際、判例や審査基準を非常によく理解されているにもかかわらず、何年も論文試験で涙を飲む方が結構おられます。こういった方は、実力が無いのではなく、試験に対する考え方に問題があるのです。
 この問題点にさえ気づけば、そこそこの実力で論文試験を十分に突破することができます。

 このような理由から、難関であってもやりかたを間違えなければ誰でも合格できるのが弁理士試験なのです。

弁理士試験に合格するための勉強法

 弁理士試験の試験範囲は、結構広いと言うことができます。司法試験の試験範囲に比べればはるかに狭いですが、受験時代の私は広いと感じました。
 範囲が広いために、勉強しようと思えばどこまでも勉強することが広がります。6%前後という合格率を見ると、やはり合格するためには深く緻密に勉強し、すべて暗記しなければならないと感じてしまう人が多いのです。そうやって勉強していくと、覚えることが多すぎて覚えきれず、合格できないという結果になります。

 ですが、安心してください。試験範囲のうち、合格するために暗記しなければならないことは非常に少ないのです。この本当に重要で暗記しなければならない部分をはっきり認識し、そこに集中して勉強することで、合格へ向けての学習効率が一気に高まります。
 当然ですが、法律の基本知識、全体像は身につける必要があります。ですが、ある程度の基本がわかれば、あとは重要点に絞り込んでピンポイントで集中的に勉強するのが良いのです。

 弁理士試験では、短答試験、論文試験のいずれにおいても「正確な理解」が問われます。したがって、全体がなんとなくわかっているレベルでは、1点も取れないことになります。ですが、部分的にでもしっかりと理解して覚えていれば、その部分の点数をしっかり取ることができます。
 このことをしっかり踏まえて、出題確率の高い重要部分から1つずつ正確に理解し暗記するという作業を地道にやれば、合格に必要な知識が正確に身に付き、効率よく合格に至ることになります。

 では、どうすれば重要部分から効率よくマスターしていくことができるでしょうか。
 それには、やはり受験に精通している弁理士の指導を受けることが近道です。その中でも、重要点を明確に示す弁理士から学ぶ必要があります。

 当塾の『凝縮基礎短答講座』は、この重要点を明確に示して学習効率を高めること、法律の基礎知識と全体像をしっかりと把握することができるようになっています。講義の中でも、論文試験用にしっかり理解して一言一句正確に暗記すべき点や、短答試験対策としてまとめて理解し覚えておくべき点などもしっかり解説しています。
 しかも、毎回の講義に該当範囲の短答演習(過去問ベース)が付いているため、学んだことをしっかり理解できているかすぐに確認でき、最初から本試験を見据えた勉強ができます。
 また論文に関しても、凝縮基礎短答講座を受講した方は、受講後の初めての論文答案で、まだまだ論文答案として書く練習が必要なものの、必要な項目がある程度上がり、しかも必要事項を説明すればすぐに理解できるというレベルに達することができます。従って、その後の論文試験の勉強へもスムーズに移行できます。

  『凝縮基礎短答講座』の詳細はこちら→[クリック]

 また、当塾の『凝縮論文対策講座』は、論文試験に合格するために必要な重要点を極限まで絞り込んだ上で、合格に必要な知識およびテクニックをしっかり身につけられるように構成されています。
 たった29頁の「凝縮レジュメ」には、判例や審査基準も含めて合格に必要な重要点が凝縮されています。最近の論文試験は、短い試験時間に対して長文の問題が出題され、しかも記載すべき項目が非常に多いという特徴があります。このため、重要度の薄い内容をだらだらと書く時間はありません。「凝縮レジュメ」は、重要点を簡潔明瞭に記載し、しかも漏れが無いように書く実力を付けていただくために必須のツールと言えます。この「凝縮レジュメ」は、多数の合格者から「論文直前はこの凝縮レジュメだけを何度も復習しました」と絶賛されている究極のレジュメです。
 また、『凝縮論文対策講座』には、答案構成で項目漏れを防止するための「答案構成パターンレジュメ」が付いています。これにより、他論点型の試験にしっかりと対応する能力を身に付け、本試験で必要項目を漏れなく記載する実力を身につけていただけます。

  『凝縮論文対策講座』の詳細はこちら→[クリック]

 このように、効率よく勉強することで、弁理士試験に短期合格することが可能となります。
 皆さんの夢の実現にお役に立てれば幸いです。

  凝縮塾の講座一覧へ→[クリック]

弁理士 西原 広徳